水増し増資、開発困難な土地と認識か…事前下見

大阪市の分譲マンション販売会社「セイクレスト」（破産手続き中）による水増し増資事件で、一連の不正を主導したとされる投資コンサルタント・松尾 隆容疑者（６７）（逮捕）が、現物出資された和歌山県白浜町の別荘分譲地（約８万４０００平方メートル）を事前に下見していたことがわかった。分譲地は全 体の９割が崖などの傾斜地で、大阪府警は、松尾容疑者が開発困難で、価値が低いことを認識していたとみている。
　セ社は２０１０年２月、現物出資による増資計画を公表した際、分譲地には２０億円の価値があり、取得後は開発して２年以内に完売するなどとした事業計画も発表。捜査関係者らによると、その２か月前の０９年１２月、松尾容疑者が分譲地を視察していたという。
　セ社の破産管財人の調査によると、分譲地の大半は草木の生い茂った斜面で、うち３割は崖地。上下水道やガスも整備されておらず、破産管財人が当時 の経営陣の責任を追及するにあたって不動産鑑定士に鑑定を頼んだところ、評価額はセ社の公表額より大幅に低い約４億３０００万円だった。

プラダ 財布 　この分譲地に詳しい不動産業者は読売新聞の取材に「土地の多くが急斜面で、そもそも造成出来るのか疑問だ」と指摘している。府警は、分譲地には２０億円の価値がなく、分譲地による増資を前提にした事業計画も虚偽だったとみている。
　松尾容疑者は取材に「分譲地は見たが、不動産のことはわからないので評価はセ社に任せていた。評価額の水増しも指示していない」と話していた。

（2012年11月30日  読売新聞）